本作は、世界的に著名な写真家Josef Koudelkaが多くの国で開催した写真展「Gypsies」の韓国での展示を記念して制作された写真集です。初めて韓国で開催されるこの展示に際し、Koudelka自身から「韓国を感じることのできる本を作りたい」という要望がありました。この要望に応えるべく、Sunghoon Kimは韓国の伝統的な文字であるハングルと韓国の伝統的な建築であるハノクからインスピレーションを得て、韓国の特性を表現するデザインを試みました。
韓国の伝統的な家、ハノクの窓はガラスではなく紙で作られており、夜になると美しく光を反射します。この特性を本に取り入れるため、Sunghoon Kimは伝統的な韓国の紙、チャンホジに似た紙を使用し、感動的な印象を表現しました。また、本の製本にはガーゼを使用し、表紙と裏表紙には厚い布をボードに貼り付けました。カバーや背表紙にはホットフォイルスタンピング加工を二度施すことで、一層の高級感を演出しています。
このようなデザインの実現には、韓国の感情を表現するための素材選びが重要でした。カバーやページの選択、表現技法を通じて、特定の地域(国)を表現するデザインを完成させることができました。また、ハングルをカバーに活用し、ハノクの光を放つ夜景を表現するために、テキストが印刷された紙は故意に透け感のある紙を使用し、裏側が見えるようにしました。
このような独自のアプローチにより、Sunghoon Kimは韓国の伝統と現代性を融合したユニークなブックデザインを実現しました。その結果、この作品は2020年のA' Print and Published Media Design Awardで銀賞を受賞するなど、国内外から高い評価を受けています。
このような評価は、Sunghoon Kimが韓国の感性と文化を表現する新たな試みとして、伝統と革新が交差するデザインを追求した結果であり、その努力と成果を象徴しています。
プロジェクトデザイナー: sunghoon kim
画像クレジット: sunghoon kim
プロジェクトチームのメンバー: sunghoon kim
プロジェクト名: Josef Koudelka Gypsies
プロジェクトのクライアント: sunghoon kim